通関士試験制度に思うこと
ロッテルダム港湾公団
日本代表 木島 信比古
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世界の貿易は、ここ数十年にわたり毎年8%程度の伸びを示しています。その間、石油ショックや通貨
危機、はたまたリーマンショックと、世界を揺るがす出来事が我々を悩ませましたが、結果的にはその
伸び率に多少の変化が見られただけで、長期的には、やはり8%程度の伸び率は保たれてきているよ
うです。
また、この調子は将来にも大きく変わることはないだろう、と考えられているのが一般的な見方です。
これほど底堅い貿易、すなわち物の流れの底流には何があるのでしょうか。
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少し視点を変えてみましょう。いまTPPに関する話があちらこちらでされていますが、この数年間、政府
の対応は後手、後手となり、私たちにとってあまりスッキリとしない感じです。それはそれとして、ここでも
同じく、どうして今、国益の名の下に多数の国々がTPP交渉に臨み、また日本のように、これから交渉の
道程に就こうとしているのでしょうか。それは貿易が国に利益をもたらす源泉であり、その貿易をもっと
自由活発に行いたいと、どの国も考えているからに他なりません。
グローバル化した経済の下では、貿易の発展が、より人々に恩恵をもたらします。日本は年間200兆円 - を超える貿易を以って国の経済を支えています。これがTPPをはじめRCEP(アジア諸国との自由貿易
- 交渉)、EPA(欧州諸国との自由貿易交渉)での成功によってますます増えるでしょうし、250兆にも300兆
- 円にもなることは、そんなに遠い先の話ではありません。貿易業界により多くの人材が求められ、その人
- 達が貿易立国日本を支える大きな役割を演じていくことになります。このことは、貿易に何らかの形で携
- わりたいという気持ちをお持ちの皆様にとって、とても勇気付けられることではないでしょうか。素晴らしいことだと思います
- 前途洋洋のこのとき、皆様は貿易とは? その具体的な方法とは? というような出発点に立たれている
方がいて、また、すでに貿易に携わりながら、それなりの経験を持ち、将来に向けてより一層スキルを習
得しようという意志をお持ちの方もいらっしゃると思います。決して大げさではなく、それぞれ様々な形で
将来を切り開いていこうとされる皆様は、日本経済や日本国民の幸せのために必要なのです。
現実問題として、貿易実務の習得はとても大切なことです。これを習得することによって、業務の現場にて力を発揮することが出来るわけですから。しかし、習得するものは実際に目の前で展開する物流を
想定したものでなければなりません。実際の物と書類の流れを頭の中でイメージすることが求められま
す。
将来実務に携わるとき、実態にそぐわない知識やスキルはリスクを孕みます。実務というミクロの世界か
ら、壮大な世界貿易の姿に思いを馳せてください。これから貿易実務の勉強をなさろうとされるあなたが
海外との交易に興味を抱き、その実態を自分の目で確かめられるようなことが出来れば、習得されよう
とすることの意味が、より自然に理解できるはずです。それが、目標に最も早く到達できる方法だと確信
します。
- 以上
貿易は着実に増えていく
TPPを含む自由貿易交渉
貿易実務は大切
- 木島 信比古(きじま のぶひこ)
- ピーアンドオージャパン常務取締役を経て、2006年 オランダ
ロッテルダム港オーソリティ日本代表に着任、現在に至る。
ホームページ
http://www.portofrotterdam.com/