貿易事務のお仕事に就くためのQ&A
- 貿易事務のお仕事に興味のある方、貿易事務のお仕事に就きたいと思っている方から、
さまざまなご質問を受けました。
そこで、ご質問に対して私の考えをここに掲載します。
ご参考にしてください。
尚、ご質問の内容に関して、「はい」は○、「いいえ」は×、「どちらとも言えない」は▲の印を付けました。
その後、詳しい説明をしています。
Q.英語はできたほうがよいですか? ▲
- A.貿易事務で扱う書類は、ほとんどが英語で書かれています。また、専門用語も英語で表現したものが多くあります。
ですから、英語が苦手な方には貿易事務・貿易実務のお仕事は向きません。
そうは言っても、特別高度な英語力は必要ありません。
まずは、仕事に登場する最低限の英単語や英文を理解できる力をつけましょう。
貿易事務のお仕事で使用する専門用語は、英語の略語を使用することがよくあります。B/LやFOBなどの言葉は、
確実に理解しておきましょう。
また、コンピュータ化、IT化が進んでいますが、まだまだ貿易事務のお仕事では、英語で書かれた書類が主役な面も
あります。
そこで、英語で表現されている書類はある程度理解できるぐらいの力をつけましょう。
担当する仕事にもよりますが、海外の担当者と連絡や交渉をする立場でしたら、英語でしっかりとコミュニケーション
が取れることが求められます。
昨今、中国ビジネスが盛んですから、中国語ができるのもメリットになります。
Q.未経験から貿易事務のお仕事にチャレンジできますか? ▲
- A.未経験でも全く無理というわけではありません。
ただし、貿易事務は専門職と言われますので、当然、スキルや経験が要求されやすいです。これは無理もない話です。
就労先企業さん、派遣先企業さんにしてみれば、経験者のほうが安心ですので、どうしても 「経験者優遇」という現象
が起きます。
しかし、いつでもどこでも必ず経験者がいて、派遣先企業の要求を完全にマッチさせることができるとは限りません。
その場合では、未経験者にもチャンスは巡ってきます。その時に未経験者としては、何か売りになるもの、つまり、あな
たのセールスポイントをしっかりとアピールできるといいですね。
たとえば、
・貿易事務の経験はないけれど、○○が得意です。
・私は、学生時代に海外留学をしたことがあります。
・私は海外には興味があります。
・輸入品にとても興味があり、自分でもビジネスを学びたいと、いつも思っています。 - ・私は人一倍憧れが強く、粘り強いです。
などなどです。
今後、中小企業を中心に、アジアビジネスに参入していく企業が多くあります。そのような場合、どうしても貿易事務者
が求められます。未経験でもチャンスは十分にあります。
Q.やりがい、働きがいはありますか? ○
- A.貿易事務は国内の事務と異なり、文化や習慣が異なる海外の企業とのビジネスなので、思いがけずトラブルに巻き
込まれたり、ミスが発生したりと、いろいろなことが起きます。
逆に言えば、たくさんの経験を積むことも可能です。
ひとつのビジネスが終了すると、間違いなく達成感を感じることができます。
・自分が初めて書いたメールに、海外の担当者からすぐに返事が来たときの喜び。
・海外のお客様にアドバイスしたら、心から喜んでいただいたこと。
・一生懸命に作成した買取書類を銀行に提出し、無事に代金が回収できたときの達成感、充実感。
やりがいがあり、面白さもありますが、大変な面もあります。
Q.ブランクがありますが、また貿易事務のお仕事に就くことは可能ですか? ○
- A.ブランクがあっても、一度経験しているのでしたら大丈夫です。また貿易のお仕事に就くことはできます。ただ、貿易
事務を取り巻く環境も、ものすごいスピードで変化しています。注意しましょう。
貿易ビジネスに関係する法律や制度も昔とは変わりました。
NACCSを中心とした、コンピュータを使用する手続きの方法は、日々進化しています。
そこでやはり、今までの知識プラス、新しい知識やスキルを貪欲に吸収する意識が必要になります。ここはどうしても
譲れないことです。
昔やっていたからと、安易に考えると痛い目にあいます。ブラッシュアップは絶えず行う必要があります。
ただ、就労先企業としては、未経験者より、ブランクがあっても経験者のほうが安心だと思う企業も多くあるみたいです
ので、チャンスは十分にあります。
Q.貿易事務に求められる資質はありますか? ○
- A.貿易事務のお仕事に求められる資質はいくつかあります。
まずは、正確性が一番だと思います。貿易書類を正確に作る、約束時間を守る、などです。
さらにスピードも求められます。
海外とのやり取りですので、時差を考え、できるだけ早く事務処理することが求められます。
また、相反するようですが、几帳面さも重要です。
金額を記載する、代金を処理する、英文を確実に理解するなど、几帳面な方が向いているともいえます。
Q.貿易事務のお仕事に転職する場合の、得なアプローチ方法はありますか? ▲
- A.比較的、得な方法はあると思います。
今まで貿易事務を経験したことがない方、これから初めて貿易に関するお仕事にトライする方に、こんな方法もありま
すよというものをご紹介します。
・国内での受発注業務を経験する
受発注業務を経験すると、貨物の基本的な流れがしっかりと理解できます。そこで、まず受発注業務を経験すること
を考えてみましょう。
・輸出入部門での営業補助を経験する
すぐに担当を任されるのではなく、まずは補助の仕事をすることにより、貿易事務の流れを確認することができます。
さらに、専任で担当している方について一緒に業務を経験することができるメリットもあります。貿易に関するスキル
や知識を仕事を通じて身につけることも可能です。
Q.今後、貿易事務のお仕事は増えますか?貿易事務者の必要性は高まりますか? ○
- A.これは間違いなく増えると考えます。
- 私は、毎月地方に行きます。地方の中小企業さんは、今後益々、海外取引、アジア諸国を中心としたビジネスを展開
していきます。内需が厳しい昨今、どうしても貿易ビジネス、海外取引の必要性は高まります。
そこで、実際に実務を行う貿易事務のお仕事は増加し、さらに貿易実務者の必要性は高まります。
Q.貿易事務のお仕事に必要な資格はありますか? ○
A.絶対に必要というわけではありませんが、貿易に関連する資格試験はいくつかあります。自分のスキルアップ、実力
の確認などの目的にも資格試験に挑戦することは役立ちます。
貿易関連の資格試験は、国家試験の「通関士試験」、民間試験の「貿易実務検定試験」「貿易スペシャリスト認定試験
(受験資格あり)」「AIBA認定貿易アドバイザー試験」「IATA/FIATAディプロマ試験」などがあります。
一般的には、「貿易実務検定試験C級」は、比較的取得しやすい試験です。まずはこのクラスの資格試験に合格する
ことを目標としましょう。
また、語学力が求められるので、TOEICのスコアはある程度必要になります。まずは600点を目標にしましょう。